読後感想 「IN」 V86

 
 桐野 夏生 著
 
 を図書館で、借りて読む。魂を凍らせる、恋愛「抹消」小説と帯にある。ちょっと苦手だが、久々の桐野さんOUT
 
 より12年目の衝撃というフレーズに絆されて・・。桐野さんは、昔読んだ小説を数えると5冊目位。
 
 主人公は、有名作家の鈴木タマキ。不倫を題材にした小説「無垢人」の不倫相手○子を突き止める小説を書く
 
 という設定。主人公も自ら長年不倫をしながら、最終章を迎えようとしていた。「無垢人」の作者緑川の愛人と思
 
 わしき人物○子を取材して行く。最後には、作者緑川の妻。無垢人では、愛人の存在を知って、発狂したかの
 
 様な妻として登場する。しかし、意外にも、年月の経過か、小説と実際とは、かなり違っていたのだった。サスペ
 
 ンス要素もふんだん。しかも、仮の小説「無垢人」自体もしっかりとした小説で、面白かった。(死の棘が参考に
 
 されているらしい)久し振りの桐野さん、INといっても、漲るパワーを感じる小説だった。
 
 ドロドロそうで、ドロドロでない不思議な展開の小説を読みたい方、お薦めです